2003~2020年度の川崎医科大学衛生学の記録 ➡ その後はウェブ版「雲心月性」です。
川崎医科大学 学報 学生版 編集後記
2009年7月
愛だろ! 愛っ
第4学年担当 大槻剛巳(衛生学)

今は昔,暫く前の学年でした。毎月学年担当は,とある会議でその受持ち学年の出欠状況の分厚い表を配布されます。そして,その君は,あたかもギリギリまで欠席することに意義を見出しているかの様に,限界まで,どの教科も欠席の日付が付けられていました。ところが,何の計算ミスか,欠席オーバーによる欠点教科を複数抱えて,それは即ち総合試験から減点されることを意味していて,そして,きっと総合試験も,最小限の努力でギリギリで通るつもりの勉強をしていたのだと思うけど,どうしたことか,総合試験で失敗してしまったのです。で,年度が変わって・・・その君は,その前の年度にさらにアクセルを踏み込む様に,欠席数のターボ全開! 学生の頃の自分を見ているような,とは,云わないまでも,これはなかなかある意味,骨のある進み方だと,圧倒される想いでした。で,それから暫く経って,新緑が目に眩しくなる頃に,教授室で書き物をしていると,外線電話が! どなたかと思えば,その君のお母様でした。留年も経験して,それでも欠席も多いようで・・・・と,心より心配されていらして,時に涙声となるようで,そこには何歳になろうとも子に注ぐ愛情の深さと重さと広さを感じることが出来,私ももらい泣きに近い感じでした。そして,でも,もう学生さんは4年生,いくら口ではぶっきらぼうで,怒った様な口調になっても,その親御さんの愛情は素直に心の中では素直に真摯に受け止めることが出来る筈だとお伝えしました。そして,小グループの懇親会でも,そのことを話しました。もう大人として精神の成熟を見る年齢です。若干,ひねくれた態度をとっても,愛情を,心の底ではそのままに受け止めることが出来る年齢になっていると信じていますと! 

世はまさに「愛」! 卓球は福原「愛」,水泳は柴田「亜衣」,ゴルフは宮里「藍」,陸上ならば絹川「愛」(おっと,彼女は「愛」と書いて「めぐみ」と読みますね),女優さんなら加藤「あい」,モー娘。は高橋「愛」,そして℃-uteは鈴木「愛」理ちゃん(おっと字余り?),ちなみに僕らの青春時代には「愛と誠」なる劇画がヒットして,映画にもなりました。その映画でデビューした女優さんは,役名そのまま芸名も「早乙女愛」でした。

そんな風に,今や愛はトレンドです。昔,永瀬正敏が出ていたカクテルのCMに「愛だろ! 愛っ」ってキャッチコピーのものがあって,非常にヒットしましたが,やはり,学生諸君! 素直に周囲の人たちの愛を受け止めてこそ,身体や心の健康に不都合が生じて,受診されに来られる多くの人たちの痛みや辛さが分かるってものだよ! そのような生命の泉から絞り出されるような苦しみを,過剰でも過小でもなく受け止めて,それでも,そのような人たちに何か福音になるような努力をこそ,君たち自身の知力と体力の限りに努めることが出来るのは「愛あればこそ」!なんだよ。

ALL you need is LOVE, LOVE is all you need.

Johnもそう唄っていたじゃん! 

基礎医学で実験に明け暮れる僕らの教室だって,今は特にアスベストや珪酸の生体影響,中でも免疫影響を調べているんだけど,それだって,3年先や5年先に,アスベストなどによる健康被害に曝される人たちの苦しみが少しでも緩和されるように,あるいは,そういう人たちの福音となるように,という愛をこそ,その基盤において日々頑張っているのさ! 

だから,「愛だろ! 愛っ」。 それを受容して・・・さて,少しは授業にも出ようね!